終わりと始まり
闇。
静寂なる闇。
漆黒なる闇。
『世界』は闇に包み込まれていた。
何も見えない。
何も聞こえない。
何も存在しない。
何故、そこは闇なのだろう。
何故、そこにいるのだろう。
何故、そこにあり続けるのだろうか。
何故、そこに誰もいないのだろうか。
わからない。
ワカラナイ。
考えても答えが出ない。
悩んでも何もワカラナイ。
逆に悩んだ分だけ、辺りを包む闇はさらに深く染まったように思えた。
世界はどうなったのだろう。
自分はどうなったのだろう。
友達はどうなったのだろう。
両親はどうなったのだろう。
それは「絶望」
それは「嫉妬」
それは「憎悪」
それは「挫折」
それは「別離」
それが闇の正体。
周りを取り囲む闇の正体。
そう、ここは自分の心の中。
世界が変わったわけではない。
自分の心の中。
痛みや嫌なことから逃げている自分がいた。
相手の反応やどう思われているのか怯えている自分がいた。
人を信じることができない自分がいた。
それら全てがもたらした『闇』。
自分はもうだめなんだろうか。
自分はもう生きていけないのだろうか。
自分はもう人を愛せないのだろうか。
自分はもう誰かに優しくできないのだろうか。
負の感情が自分を支配する。
辺りの闇は一層、強くなる。
空気が淀み、目眩がする。
何も見えない闇に溺れそうになる。
それでも、自分は生きていかなくてはいけない。
辛いことも嫌なことも受け止めて。
この『闇』と共に生きていかなくてはいけない。
そう思ったとき。
遥か遠くに一筋の光が見えた。
闇はその光を避けるように更に奥へと逃げようとする。
それは「喜び」
それは「希望」
それは「出会い」
それは「愛」
それは「栄光」
もう少しがんばってみよう・・・
もう少しやってみよう・・・
もう少し人を愛してみよう・・・
もう少し自分を信じてみよう・・・
光と闇。
陰と陽。
出会いと別れ。
喜びと怒り。
全ての終わり。
全ての始まり。
全ては我が心の中に・・・